歯が抜けたらインプラント?
2018年05月3日(木)インプラントは何のために行う治療なのか?
インプラントを入れるとメインテナンスが一生必要なのでは?という質問を多くいただきます。それは正解です。しかし言い換えると、「歯を守るためには一生メインテナンスが必要」なのです。
つまり、インプラントは、インプラントを長持ちさせるために行うのではありません。自分の歯を、そして歯肉を、そして顎関節を、そして口元を、そして顔貌をキープするために行う治療なのです。自分の残っている歯、そのプライスレスの歯や口元を守るために、また回復させるために行う治療が歯を補う治療(欠損補綴)であり、その治療方法のひとつがインプラント治療なのです。場合によっては入れ歯がいい場合もあり、ブリッジがいい場合もあるということです。
『歯が抜けたからインプラント』は間違っている?
歯が抜けたからインプラントをして歯を回復させる、その考え方はインプラント治療の基本だと言えます。ですが、歯が抜けた原因の分析や解析、そしてその原因を改善することこそが、本来のインプラント治療の在り方だと思います。
例えば、虫歯が原因で歯が抜けた人は、虫歯予防に対して真剣に取り組まないといけません。歯周病で歯が抜けた人は、今残っている歯の歯周病治療を完璧に行って、さらに今後、残っている歯が歯周病にならないように真剣に取り組まないといけません。そのリスクを残したままインプラント治療を行っても、また同じ原因でインプラントや歯が抜けてしまいます。
歯が抜けてしまう原因は、虫歯や歯周病だけではありません。咬合(噛み合わせ)によって歯に無理な力がかかってしまうこともあります。咬合に原因のある方には、もちろん咬合の治療(咬合再構成、矯正治療)が必要となります。
本多歯科では、これらの原因が解決されない場合は、インプラントをお勧めすることはできません。
インプラントは一生持つのか?
この質問は、歯科治療のどの治療にとっても、とても難しい質問です。例えば、保険の銀歯で言えば、装着後2〜5年で変形が始まるとも言われています。ですが変形したからといってすぐに取れる訳ではありません。変形が始まって二次う蝕のリスクが上がった時を言うのか、取れるまでを言うのか…とても難しい判断です。
また、耐久性には年齢にも左右されます。ご高齢の方へのインプラント治療と、若年者の方へのインプラント治療では、インプラントを使用する期間に差があります。例えば、インプラント治療を行うとなったとして、20年後の顔貌の変化を予測できますか?できないと思います。同様にお口の中の変化も予測できないのです。歯ぎしりや食いしばりもそうですが、日々歯を使う中で加齢変化というものが、天然歯にはどうしてもあります。歯の磨り減りや歯肉退縮など様々です。そういった変化に対してインプラントをどう馴染ませていくのかということも必要となるのです。口腔内の変化に対して上部構造(インプラントの差し歯の部分)の形を変えていく必要があります。また年齢を重ねるとどうしても起きてくる問題が歯周病です。歯周病にどう立ち向かうか、どう予防するのか、そういったところがキーポイントになります。
インプラント治療は歯を失った方に対する治療方法の“ひとつ”
本多歯科が目指す治療は、その人にあった最適な治療方法の選択です。失った歯を補えばそれで良いというものではありません。保険の入れ歯やブリッジでも、自費のインプラントでも、その考え方が変わることはありません。
患者さまにとって一番良い治療のプランニングはどれなのか?それを考えることこそが最良の歯科治療といえます。患者さまにとっての治療のゴールはひとつであり、その治療方法のひとつにセラミックがあり、差し歯があり、入れ歯があり、ブリッジがあり、そしてインプラントがある、そういう考え方に沿って治療を進めています。