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本多歯科ブログ

大きな『むし歯』

2017年04月21日(金)

歯医者さんで

「大きなむし歯がある」

と言われた経験のある方はいますか?

歯医者さんはむし歯のどの部分を見て大きいか小さいかを判断していると思いますか?

①むし歯の範囲が大きい

歯の大部分にむし歯が進行している場合でも「虫歯が大きい」と言います。

②歯の神経との距離が近い

むし歯自体は大きく見えなくても中で広がって神経と距離が近くなっている場合も「虫歯が大きい」と言います。

今回は後者の、歯の神経が近いむし歯治療について、症例とともに解説いたします。

 

患者様は13歳、中学1年生のお子様です。「歯に穴があいた」と来院されました。

お口の中を見てみると、、、

確かに、奥から2番目の第一大臼歯に穴があいています。これだけ見るとそれほど大きくむし歯になっているようには見えませんね。

しかし、むし歯で歯が欠ける時には、かなりの確率で大きなむし歯になっています。

レントゲン撮影をいたします。

奥から2番目に大きな虫歯ができていることがわかります。(歯の上の面から中に黒くなっている部分)

この時点で、歯の神経との距離が近いこともわかります。完全には神経に到達していないようにも見えます。

むし歯が、歯の神経と距離が近い場合、3つの治療方法がありますが、どれもむし歯を取って見ないとどの治療になるかわかりません。

①むし歯を除去した後、神経まで1㎜以上距離がある場合

神経との距離がある場合は、歯髄保護処置をして詰め物や冠せを作っていきます。

②むし歯を除去すると、神経まで1㎜以下または一部交通している場合

この場合、この時点で究極の選択を迫られます。ひとつは神経を残す治療、もうひとつは神経を取る治療です。神経を残す治療でのデメリットは、もしもすでに神経に炎症や感染がある場合に麻酔が切れてから激痛が起こる可能性があるということです。しかし神経が残れば、歯にとってはハッピーなので、歯医者さん的に見ればこの治療を選択する方がいいと思います。もうひとつの神経を取る治療では、神経は無くなってしまうものの、家に帰ってから激痛が起こるというのは極めて稀だと言えます。

③むし歯を除去できていないうちに神経と交通した場合

この場合は、むし歯菌がすでに神経の中に侵入している可能性が高く、神経を保存することは困難のため、神経除去(抜髄)となります。

今回の症例では、むし歯を除去した後、神経の入っている歯髄と一部交通を認めました。むし歯を除去したところにある赤い点が見えますか?これが歯髄の一部が見えているところです。

では、なぜレントゲンでは神経と距離があるように見えたのに、実際は神経が見えてしまったのでしょう?これは、むし歯に完全になっているところはレントゲンで黒く写りますが、むし歯になりかけているところはレントゲンに写りにくいのです。まだ脱灰が進んでおらず、歯質が残っているためです。実際には、むし歯になりかけているところにもむし歯菌は存在しているためこの部分も除去する必要があります。

患者様にインフォームドコンセントをしたところ、お母様もお子様も神経を残す治療を希望されました。保険治療を希望されていたので、神経保護に定評のある、炭酸ガスレーザーと水酸化カルシウム製剤を使用して神経を保護した後、コンポジットレジンで修復します。

治療終了後の写真です。虫歯で穴があいていたところは、保険でできる審美歯科修復の一つであるコンポジットレジンで修復したため、綺麗に再現できています。範囲が大きい場合は、金属のインレーやクラウンになってしまう場合もあります。

術後1ヶ月で再来院していただき、経過観察を行いましたが、痛みやしみる感覚もなく、美味しくご飯が食べれているとのことでした。


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