あごが痛い・音が鳴る
2016年11月14日(月) Q&A顎関節症とは
『口が大きく開けられない』『口を開閉時に音が鳴る』『固いものが咬めない』『あごを動かすと痛い』などの症状をお持ちの方は、いてませんか?
顎関節症とは、これらの顎の筋肉や関節の症状の『総称』を言います。顎関節の症状や病態によって1〜4型に分類されています。
顎関節について
“顎関節”と聞くと、ある特殊な関節を想像する方もいらっしゃいますが、構造的には手首や足首、肘や肩などの関節となんら変わりはありません。唯一の特異性は手首や肘は1つの骨と1つの骨を1つの関節で動かしていますが、顎関節は1つの骨(上顎骨)と1つの骨(下顎骨)を左右2つの関節で動かしています。これにより上下左右前後のさまざまな動きに対応しているのです。下顎骨を側面から見た時に英語小文字の『y』になっている頭の部分を下顎頭と呼びます。上顎骨の関節窩に下顎頭が収まるかたちが閉口時で、下顎頭が前に動くことで口が開きます。上下顎骨間には顎を潤滑に動かす関節円板があり、口のスムーズな開閉に役立っています。また咬筋や側頭筋など顎関節を取り囲む筋肉によって口の開閉を行っています。
歯ぎしりと顎関節症
一緒に寝ているご家族やご友人から“歯ぎしり(Brx)”を指摘されたことはありませんか?歯ぎしりは寝てる間に無意識でしてしまう、上の歯と下の歯をギリギリと音を立てるものや、食いしばりを行うものもあります。多くの場合が“癖”になっており、睡眠中のためなかなか止めることができないのが現状です。
また“歯列接触癖(TCH)”というものがあります。これは歯ぎしりとは反対で、日中の起きている時間の無意識の歯の接触を指します。健常者では、上下の歯と歯の間は食事時や発音時以外は、約3㎜の間隔が開いており、これを“下顎安静位”と呼びます。無意識に上下の歯列を接触させることにより、顎顔面領域や首や肩の筋肉や関節が緊張します。
歯ぎしりや歯列接触癖の治療を行うことで、顎関節症状の緩和や歯の寿命の延命にも効果があります。
ある日突然痛くなった
「ある朝起きてみると…」「食事中や運動中に…」「何もしていない時に…」、急に痛みを感じるようになったという人がいます。痛くなる少し前から違和感を感じる方もいらっしゃいますが、関節が痛くなる時にはたいてい“急”になることが多いのです。今までは何もなくても、あるとき突然痛くなる時には、顎関節症の筋肉の痛み(1型)や靭帯の痛み(2型)の可能性があります。手首や足首をひねる(ぐねる)時と同じようなことが起きていると考えられます。本多歯科では顎関節を安静に保つ方法の伝授や鎮痛剤、筋肉をほぐす薬の処方によって治癒をはかっています。
あごに音がなる
口の開閉時に耳の奥の方に「カクカク」「ポキポキ」「ザラザラ」など音が鳴る症状をお持ちの方がいます。痛みなどの症状はほとんどないことが多く、もう何年も前から自覚症状があると訴える方も少なくありません。まれに耳の奥の方に痛みを生じる方もいらっしゃいます。音が鳴るのは、顎関節の関節円板に異常(3型)をきたしている可能性があります。関節円板が前方に転位し、下顎頭が乗り越える時に音が鳴っています(3a型)。原因は、生活習慣や姿勢、歯ぎしり、歯列接触癖などさまざまです。さらに進行すると音が鳴らなくなり、口が開かなくなります。そうなる前に早めに歯科を受診しましょう。本多歯科では生活習慣や姿勢の指導、スプリント療法、顎関節運動療法などで治癒をはかっています。
口があかない、痛い
関節円板の異常である3型の顎関節症が進行すると、口が開かなくなります(3b型)。前方転位した関節円板が上顎骨に癒着し、下顎頭が乗り越えようとする(口を開けようとする)と、圧迫され激痛を感じるようになります。その状態に慣れてしまって痛みを感じにくくなる方もいます。また口が開かない状態が長く続くと、顎関節を構成する組織に変形を生じ、元に戻らなくなる場合もあります(4型)。
本多歯科では生活習慣や姿勢の指導、スプリント療法、顎関節運動療法などで治癒をはかります。症状が改善しない場合は、顎関節の専門病院を紹介させていただきます。
原因は人それぞれ。歯ぎしりや歯列接触癖を持っていても症状が出ない人もいる。